『さあ、ツッコミの時間です。』

　なんだかなぁ。流行ってる役者で時代劇やってみました。不況で辛い皆さん を元気づけるためにガンバッテマース！　というノリを、「しょせんドラマだから」と笑って見過ごして良いものかどうか。
　世間的には「まつ（＝松嶋菜々子）の“励まし系”をお手本にあなたのダンナ様も励ましましょう」などと言ってるわけだが、別 に素の松嶋が言ってるわ けではないしねェ。というかあの押し付けがましい言い回しはよけいなプレッ シャーを与えているだけだと思うんだけどな。
　 ま、勘違いした奥様が上司のもとへ押し掛けて「妻も命がけでございます！！」とかいったらある意味 おもしろいが、やっぱり迷惑になるんでやめましょうね。
　ぶっちゃけた話、面白くないわこのドラマ。「上様（＝暴れん坊将軍）」こと松平健が中堅家臣・柴田勝家という役どころも時代劇ファンにとっては衝撃的であった。「そんなこと（史実に）あるわけねえだろ！」感は暴れん坊将軍も「利家とまつ」も似たようなレベルなんだが、あまり教訓のない、「松平健エンターテインメント」と呼ぶべき独り舞台こそが時代劇のだいご味だったりするもんだ。
ってわけで、「暴れん坊将軍」にわたしは軍配をあげたい。最近見てないけど。 妙に現代を意識させている設定に違和感があるのだよ結局のところ。
　 そのほかのキャスティングは国営放送だけあってムダに豪華。
　 月９＆金曜ドラマ（TBS10時〜）を合体させたような面 子であるがゆえに、「現代モノで愛憎ドロドロだったりしたらもっとおもしろいのになあ」と思わせてしまう。
　 密かな愉しみとしては、ドラマではなくて「シュート」部分である。
　 まつは織田信長役の反町隆史の奥さんである。実の夫婦の間にたつ唐沢寿明は苦労してるだろう……と思ったら反町隆史とは同じ事務所の先輩で、相変わらずいつもの「目に力ばかり入るぶっきらぼうキャラ」(キムタク同様、こういう演技しかできない)にお説教したりしているらしい。もっともこの二人、「ラブコンプレックス」という実験性が高すぎて誰もついていけなかったドラマで熱い接吻シーンを披露している仲なのだが。
　あとはいつもクソ真面目でおもしろくもない三浦友和が名取裕子の尻に敷かれていることに百恵ちゃんはどう思っているのかとか、妙にNHKは「美男美女夫婦」を意識したチョイスをしてないか？　勘ぐりたくもなる。
ついでに唐沢の弟役・竹之内豊と松嶋菜々子といえばアホアホドラマ「氷の世界」を思い出させて苦笑する（ヘリコプターから海に飛び込んでもピンピンしていた松嶋。お前はターミネーターか!?）。のりピー音頭でぴっぴっぴ、とか言ってた酒井法子はすっかりこまったオバサンと化し（前の大河ドラマでは沢口靖子がやってただけに、なんだかなあと）、名取裕子と加賀まりこの熟女対決はマジでやばそうだ。あ、そういえば一般 的には悲劇のヒロインと言われているお市の方を「あぐり」田中美里がつとめ、しかも「かわいそうなヒロイン」像をぶちこわす、ほれっぽい女性として描いているところも戦国歴史ファンには衝撃だったかもしれない（ひょっとしたら「これが真実です」と言われたりして）。
　そして、「猿キャラ」豊臣秀吉役があの「静かなるドン」の香川照之だ。米米クラブのリーダー（誰も覚えてないでしょ？）から中山ヒデまでいろんな三流役者が演じた「ドン」の役だが、やっぱりあのおっとり感は香川照之にしか出せない。それがなぜ猿の役なのか…悲しいぞちょっぴり…まぁそのうち天下をとるのだからいいか、と。まだ信長存命中なので、これから出てくる明智光秀やら徳川家康（なんでまだ出てきてないんだ！？）、石田三成役に期待していいのかどうなのか非常に困る今日このごろである。頼みますよホンマに。
　そういえばこのドラマのタイトル、ある世代以前の人は口をそろえて「トミーとマツ」と言う。国広富之は何処へ…。

3/28/2002　yuka　　 　TOP PAGE